専門医の医師の求人/募集/転職スペシャルインタビュー >鈴木 清志 氏 / 東京療院療院長、医療法人財団玉川会MOA高輪クリニック理事長、院長

スペシャルインタビュー
鈴木清志

心は患者さんと共に。
人の絆で支える統合医療

鈴木 清志 氏
東京療院療院長、
医療法人財団玉川会MOA高輪クリニック理事長、院長

こころと体の健康ひろば

東京療院は、一般社団法人MOAインターナショナルと、医療法人財団玉川会(ぎょくせんかい)が、統合医療の視点に立ち、それぞれの特色を生かして共同で運営する統合医療施設だ。医療法人財団玉川会MOA高輪クリニックは、東京療院という大きな統合医療施設の中のクリニックとして位置づけられている。
東京療院の療院長であり、医療法人財団玉川会MOA高輪クリニックの理事長兼院長である、鈴木清志氏に話を聞く。
「医学は確かに進歩していますが、病気の種類は減るどころかむしろ増えています。しかも急性から慢性の疾患に移行しているだけで、医療費も増え続けている。病気をなくすことが医療の本来の目的だとすれば、それとは違う方向に進んでいるわけです。今後の医療を考えた時に、西洋医学だけに頼る医療で本当に病気は減っていくのか、そして日本の医療制度はこのままで良いのかなどを、みんなで考えていく必要があると思います。病気を減らし、医療の質を上げるための具体的な方法として、私たちの考え方に最も近い、統合医療の概念をもとに、さまざまな診療を行っています」
西洋医学は病気の診断と治療に重要な役割を果たすが、薬や手術に頼るだけでは、病気の真の解決には繋がらない。MOAグループの創始者である岡田茂吉氏の哲学に基づき、生活習慣を改善することで、人間が本来持つ「自然治癒力」を向上させ、心身両面の健康増進を目指すというのが東京療院の基本理念。なるほど、自然農法産食品を使用したレストランや、それらの食材が購入できる売店、あちこちに飾られるお花や美術品。きれいな館内を歩いているだけで、次第に心が癒される。「こころと体の健康ひろば」の意味を実感する。

「良い医者」とは何か

「もともと顕微鏡を覗くのが好きだったので、現役のときは大学の理学部の生物学科を
目指しました。ところが予備校で一緒だった医者志望の仲間を見るうちに、『自分も
良い医者になりたい』と、進路を変更したんです」
予備校時代に芽生えた強い思いがきっかけとなり、千葉大学医学部へ進学。
卒業後は都内の国立病院や都立病院勤務を経て、心臓病専門の榊原記念病院に就職する。
MOAの考え方を知った時期でもあり、「良い医者になりたい」という思いは、その後
紆余曲折をくり返しながらも、氏の根底となって深く刻み込まれた。
「自分がどんなに手を尽くしても、患者さんに喜ばれないことがあります。
一方で、十分な治療ができなかったのに、『本当にありがとうございました』と感謝
される時もある。これはどういうことだろう? と、分からなくなりました。どんな病気でもパッと治せるのが良い医者だと思っていたのですが、病気を治すことだけが医者の仕事ではない。むしろ患者さんの気持ちに寄り添って、ご家族や周囲の人との生活を支え、人生の最期は傍らで看取ってあげる。そんな医者も必要かもしれないと思うようになりました」
榊原記念病院では、子どもの心臓病に関して、診療も研究も自分なりに精一杯やったという自負はある。ただ、病院に泊まることもしばしばで、身を削るような毎日を送っていた。「全国から心臓病の患者さんが集まってくる。危篤状態の患者さんも送られてきました。毎日いろんな患者さんを診ながら、西洋医学の素晴らしさと限界を感じ、自分は一体何をやっているのかと葛藤するうちに、思いは少しずつ統合医療へと向かっていったのです」

重視するのは心のケア

統合医療ということで、口コミや広報活動を通じて多くの来院があると推測される。実際の患者層はどのようなところか。
「私は小児科と内科の循環器を専門としながら、今は心療内科も標榜しています。また、MOAのドクターのパイオニアである新田和男先生は、国立がんセンター化学療法部長や千葉県がんセンター研究局長などを務められたご経歴があるので、癌と心臓病の患者さんは全国から来られます。他の病院で手術などを勧められた時に、セカンドオピニオンのために来られたり、有効な治療法がないと言われて、どうしてよいかわからずに来院される方も多いですね。生活習慣病の改善と合併症の予防を目的とした診察や、健康増進のための短期滞在型プログラムで受診される方も多いです」
医療スタッフの数や設備の問題から、救急には対応していない。手術などの専門的な治療は他の病院に紹介し、その前後のケアに力を注ぐため、他の医療機関との連携を大切にしている。クリニックとして特に重視するのは、心のケアだという。
「外国に比べて認識が遅れていますが、いわゆる“スピリチュアル・ペイン”への配慮が必要です。『今までいいことをやってきたのに、なぜ自分はこんな病気になったんだろう』というような葛藤や強い不安、死に対する恐怖心。そういう思いが強いと、今の生活が脅かされてしまいます。スピリチュアル・ケアは、ガンの緩和医療などと共に、これからの医療の重要な柱になると思います」

地域との連繋を軸とした統合医療

MOAとして積極的に取り組んでいるのは、地域との連繋であるという。
全国に10ヶ所あるクリニックが中心になって、地域にいるMOA会員のボランティア
メンバーとの連携を図っている。その内容から、MOAが考える統合医療だけでなく、
今後の医療のあるべき姿を窺い知ることができる。
「MOAグループのメンバーは、全国で数万人おられます。私たちのクリニックに来ら
れる外来の患者さんは一日40名程度ですが、ご自分の病気が良くなると、多くの方が、
その感謝の気持ちをボランティア活動でお返ししたいということで、私たちの診療に
ご協力くださっています。またその方たちの身近に、同じような悩みを持つ人がいた
ときには、患者さんの守秘義務を守りながら、クリニックと連携をとってサポートを
する。つまり周囲のサポートで健康を取り戻した方が、今度は人を助ける側に回るという相互補助の関係が生まれているのです」
個人の生活習慣をどう改め、周りがそれをどうサポートするか。クリニックだけではできないことを、家庭や地域のボランティアと連携して、患者さん一人ひとりをサポートする。これは統合医療のモデルの一つであり、決してMOAだけの特別なものではないと力説する。
「私たちの考える統合医療は、西洋医学に何かを組み合わせるといった単純なものではなく、病気を減らして生活の質を高めるための具体的な医療システムです。病気の治療はその一部であって、病気の予防から最期を看取るまで、その人の人生をどうサポートするのか。地域の環境や福祉を含めた、すべての医療資源の整備と言いますか、新しい医療システムの構築です。病院だけではできないことを地域のボランティアが協力し、さらに福祉、環境の整備のために、地域行政がそれと連動する。こうした人の絆で支えあうシステムが構築できれば、医療の質は根本的に変わりますよね! それこそが今後の医療のあるべき姿だと思いますし、本当の意味での統合医療だと思っています」

超一流の先生から学ぶこと

鈴木清志
鈴木先生と弊社代表・徳武

小児科専門医として、循環器の専門病院で多くの患者さんを診療されたご経験から、専門医制度についてはどのようにお考えだろうか。
「専門医は大事だと思います。必要な制度だとは思うのですが、特定の臨床科目、分野における専門医だけでなく、もっといろんな分野の専門医があってもいいと思います。たとえば家庭医や統合医療の専門医などですね。何でも診ることのできるジェネラリストとしての専門医制度があれば、幅が広がってずいぶん違うのではないでしょうか」
最後に若い先生方へのメッセージをいただきたい。
「自分が尊敬する先生の技術と人柄を、できるだけ吸収することを勧めたいですね。幸い私は、人生の大切な節目ごとに、心から尊敬できる超一流の先生方に出会うことができました。そういう先生方に共通するのは、医者としての技術はもちろんですが、同時にその人間性、とりわけ患者さんを包み込む大きさですね。患者さんの気持ちに寄り添う姿勢が素晴らしい。その先生が本来持っておられる能力もあるでしょうが、ご本人の努力と周囲のサポートもあって、そういうお人柄が作られたのでしょう。超一流はやっぱり違うなと思います。そういう人に是非お会いになって、大いに参考にすればいいと思います。ただ、そういう先生方を見ていると、どうあがいても自分には到達できない境地だなと、いつも思うんです。だから超一流になれない以上は、せめて患者さんの気持ちを尊重して、そばにいてあげたいなと思いますね」
優しさとあたたかさが滲み出た笑顔に、患者さんの心に寄り添っていたいという思いが満ち溢れていた。

(取材・文:江崎龍太)
(2012年1月)


鈴木 清志 氏 (東京療院療院長、医療法人財団玉川会MOA高輪クリニック理事長、院長)

プロフィール

1981年千葉大学医学部卒業
1981年東京医科歯科大学小児科に入局、同研修医
1982年国立病院医療センター小児科研修医
1983年東京医科歯科大学小児科医員
1983年国立王子病院小児科厚生技官
1984年榊原記念病院小児科研修医
1986年東京都立豊島病院小児科医員
1989年榊原記念病院小児科医長 
1994年   同    副部長
日本小児循環器学会より、Young Investigator's Awardを受賞
1998年治験事務局副局長を兼務
2000年MOA成城診療所
2001年東京療院 療院長
(医) 玉川会 MOA高輪クリニック 副院長を兼務
2003年(財) MOA健康科学センター 理事長
2006年(医) 玉川会理事長
(医) 玉川会 MOA高輪クリニック院長

専門医
日本小児科学会専門医
日本小児科学会員、日本統合医療学会員、日本心身医学会員、国際補完統合医療学会員(ISCMR)、世界心身医学学会員

インタビュー

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佐藤 理仁 氏/さとう埼玉リウマチクリニック院長

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小林 奈々 氏/医療法人めぐみ会 自由が丘メディカルプラザ副院長

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小川 奈津希 氏/ジェネラルクリニック院長

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久保田 明子 氏/アイクリニック自由が丘

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煎本 正博 氏/株式会社イリモトメディカル

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吉田 正史 氏/東埼玉総合病院 消化器内科科長・内視鏡室室長

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武田 淳史 氏/公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院 眼科医長

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